水葬

うつしよと隔てるように石を入れた さらばおとうと 波路遙かに

白波に花が散らばり消えてゆく 幾千の日々皆還らざる

ごわごわの麻袋では痛かろうと シルクのスカーフこっそり巻いた

海底に桜は似合わないとわらう 帰る場所なき たまゆらの君

いつか誰かが言っていた海の底の 都をきっと見に行ったんだね

死ぬことは罪だと思う 生きるのは罰だと思う朝霞の中

魂の在処など知らぬ僕らだから 一緒に桜の木になろう